古梅園は創業1577年の伝統あるお店です。
墨は推古天皇の時代(西暦610年)に高句麗の僧曇徴(どんちょう)が製墨法を日本に伝えたと言われています。
奈良墨の歴史はこちらをご覧ください。
http://sumi-nara.or.jp/sumi_history.html
日本の墨は奈良と鈴鹿にある1軒の工房ですべて作られているそうです。
お店に入ると商品がずらりと並んでいます。お店のひとが丁寧に説明をしてくださいます。
夏目漱石さんの書も飾ってあります。
この暖簾の奥に工房があります。二本のレールの上をトロッコが材料や墨を運んで行ったり来たりするそうです。
トロッコやこの奥の説明をしてくださってます。
どんどん進みます。
まだまだ進みます。
開けたところに採煙する場所があります。職人さんのじゃまにならないように2班に別れて見学します。
火の加減、油の量にも気を使うとても繊細な作業だそうです。
純植物性油を土器に入れ、藺草で作った燈芯に火を灯して土器の覆いをかぶせ、その内側についた煤煙をとります。煤のつき方が偏らないように20分おきに職人さんが土器を回します。火がゆらゆらしている暗い部屋は幻想的です。
上質の膠を深さ30cmほどの「たんぽ」と呼ばれる銅壺に入れて70度のお湯で時間をかけてゆっくりと湯煎をし、膠の溶かした液を作ります。
写真ではちょっとわかりにくいですが、この部屋で丹念につくられた煤と膠の溶液を100対60の割合でよく混ぜ合わせ、この時香料も入れてよく練り上げます。この練り具合で墨の生命が決まります。
墨の文字、図柄が彫ってある梨の木で作られた木型に、光沢が出るまでよく練られた墨を型入れします。
墨の一丁形の目方は15gですが、木型に入れる時は、まだ墨玉に水分が多く含まれている為、約25gとなります。
ここでみなさん、にぎり墨の体験をしました。
この突き当たりは墨を灰乾燥させる部屋です。
木型から取り出した墨は、第一日目は水分の多い湿った木灰に埋め、二日目以降は徐々に水分の少ない木灰に埋めかえていきます。この灰乾燥は小型のもので1週間、大型のもので30日〜40日程度続けます。
灰乾燥が終わり約7割の水分が除かれた墨は、別の部屋に移され、藁で編まれて天井から吊るし、室内(自然)乾燥をします。通常約1ヶ月〜6ヶ月を要します。
見学はこの部屋で香料や仕上げの説明を受けて終わります。
自然乾燥が終わった墨は表面に付着した灰を1丁ずつ水で洗い落とします。その後炭火で焙り、微に表面を柔らかくして蛤の貝殻で磨き、美しい光沢を出します。これは蛤の貝殻でしかでない光沢だそうです。
丹精込めてつくられた墨は、更にしばらくの間自然乾燥した後、金粉や銀粉またいろいろな顔料を用いて彩色します。独特の特徴のある墨の文様もこの彩色でより美しく鮮明にあらわれてきます。
墨づくりに必要な原料がだんだん少なくなってくる中で、それらを集め、ストックしていくこともまた大切な仕事となっているそうです。
墨づくりのお話を聞いた後、お店でみなさん思い思いの墨を選んでお買い物をして古梅園見学は終了しました。
古梅園の定番、紅花墨 には上に1つ〜5つの丸が付いています。一星〜五星は煤の粒子の細かさでランクがつけられ、五星が粒子の細かい最上級となります。